弁護士法人キャストグローバル
企業有事・税務調査・入管の専門分野をカバーし、コンプライアンス・危機管理の高度化を支える
企業有事、税務調査、外国人雇用――企業を取り巻く法的リスクはますます複雑化しており、その対応には「専門分野を横断する知見」が求められています。弁護士法人キャストグローバルは、捜査・危機管理の知見と、各士業の専門性を掛け合わせることで、コンプライアンス・危機管理支援の幅を広げ続けてきました。
登壇者
岸 毅
弁護士法人キャストグローバル パートナー
外山 香織
弁護士法人キャストグローバル 代表
河田 好平
弁護士法人キャストグローバル パートナー
※肩書・インタビュー内容は本インタビュー時点(2026年6月)のものです。

専門分野を横断する知見で、複雑化する企業リスクに向き合う
外山近年、企業を取り巻く法的リスクが複雑化し、一つの専門分野だけでは解決できない課題が増えています。こうした環境変化下で、企業を支援する法律事務所には、どのような役割が求められているのでしょうか。また、そのなかでキャストグローバルならではの強みはどこにあるとお考えでしょうか。
河田たしかに、私が対応している案件も、複数の法律や制度が複雑に絡み合っているケースがほとんどです。そのため、専門家同士が連携しながら課題を解決していくことの重要性は以前にも増して高まっています。例えば、外国人雇用に関する相談であっても、論点は労働法や入管法だけでなく、各種業法、場合によっては税務面の検討も必要になります。また、企業不正への対応であれば、会計やガバナンス、各種業法や刑事法、税法などの幅広い視点が欠かせません。

キャストグローバルは、中国・アジア法務に強いブティックファームとして知られていますが、実際には一般民事訴訟や企業間紛争、企業法務、金融法案件、労働事件、知的財産事件、国際離婚や国際相続など、実に幅広い案件を取り扱っています。所属する弁護士は、四大法律事務所などの大手法律事務所出身者も多く、大手企業のインハウスローヤー出身者、国税局や特許庁の出向経験者、岸弁護士や私のような検察官出身者など多様で、ニューヨーク州弁護士やカリフォルニア州弁護士、あるいは日本人弁護士では希少な香港ソリシターを併せ持つ弁護士もいます。ブティックファームとしての専門性を持ちながら、企業が直面する様々な課題に対応できる体制が整っています。なお、グループ(キャストグローバルグループ)としては、税理士、公認会計士、司法書士、社会保険労務士、行政書士など15種の士業が所属しており、日常的に業務連携しています。そうした専門性の深さと対応領域の広さを併せ持っていることが、私たちの強みだと思います。
岸検察官時代から、企業を巡る法的問題は一つの専門分野だけで解決できるものではなくなっていると感じていました。例えば、企業不正の案件一つをとっても刑事法だけでなく、税務や会計、ガバナンスなど様々な要素が関わってきます。そうしたなかで、キャストグローバルには河田弁護士をはじめ多様な分野で実績を持つ弁護士が集まっています。得意分野を異にする弁護士同士が連携しながら企業を支援するという考え方に大きな魅力を感じましたし、自分自身の経験をそうしたチームのなかで生かすことができるのではないかと考え、新たな挑戦の場としてのキャストグローバルに参画しました。
「事件になる前」に相談できる存在へ
外山岸弁護士は1995年に検事に任官されて以来、約30年にわたり、検察官として活躍されてきました。東京地検特捜部検事や名古屋地検特捜部長として経済事件や企業不正の捜査に携わり、東京地検公判部長・刑事部長としては一般刑事事件の捜査や公判業務の統括に加え、若手検事の指導にもあたられています。検察組織のなかでも、特捜部長、公判部長、刑事部長という要職を歴任されたご経歴は非常にめずらしいと聞きます。そうした経験を踏まえ、企業のコンプライアンスや危機管理問題に、どのような価値を提供していけるとお考えになりますか。
岸クライアントである経営陣の皆さまにお伝えしたいのは、問題が表面化した後ではなく、その前の段階で適切な助言を得ることの重要性です。「何か違和感がある」「少し気になることがある」――そうした段階でご相談いただければ防げる可能性は高まりますし、その後の調査や対応の在り方も大きく変わります。私は、企業にとって”最初の相談相手”になりたいと考えています。
外山「企業にとって”最初の相談相手”に」とのことですが、そうした時、岸弁護士ならではの強みはどのような点にあるのでしょうか。
検察の「意思決定のプロセス」を理解していること。それが、私だから提供できる価値です。

岸私の強みは、”検察の意思決定のプロセス”を理解していることです。検察は、問題が起きた後にどう処理をするかだけでなく、そもそも捜査に着手するのか、どのような証拠が必要なのか、どの段階で起訴するのかといった判断を重ねながら動いています。私は長年、その判断を行う立場にいました。そのため、企業からご相談を受けた際には、法律論だけでなく、検察や第一次捜査機関がその事案をどのように見ているのか、何を重視しているのかという視点から助言することができます。
検察官時代に感じていたのは、企業側が「まだ大丈夫だろう」と考えている段階と、捜査機関が「すでに重大な問題の兆候がある」と見ている段階には、少なからずズレがあるということ。税務調査はその典型で、企業がまだ「国税当局との見解の違い」と考えている段階で、当局側ではすでに刑事事件化に向けた動きが進んでいるケースもありました。また、国税の調査については状況に応じて担当部署が変わるので、企業側からは調査の全体像が非常に見えにくい。その過程で対応を誤ってしまうと、本来なら回避できたリスクが存外大きくなってしまうことも。「国税から特定の取引について詳しい説明を求められている」、あるいは「取引先への反面調査が行われている」といった局面では、すでに別のリスクを注視している可能性もあり得ます。いずれのケースであっても、初期の段階でご相談いただければ、お役に立てるケースは少なくないはずです。
外山それは、わかりやすい例ですね。一方で、近年は企業活動のグローバル化が進み、国内だけではなく海外におけるコンプライアンスリスクも高まっています。特に海外子会社の管理や外国公務員贈賄などは、多くの企業にとって悩ましい課題だと思います。岸弁護士は、それらについてどのようにお考えでしょうか。
岸海外事業を展開する多くの企業にとって、外国公務員贈賄の問題は”対岸の火事”ではありません。現地法人の役職員としては、「現地ではよくあること」「事業を円滑に進めるために必要だった」という軽い認識で行動していたとしても、国際社会の規範や日本の法律から見ると重大なコンプライアンス違反に該当する可能性があります。特に海外では、エージェントやコンサルタントを介して資金が支払われるケースも多く、企業としては通常の取引や業務委託の一環と認識していても、国税の調査や内部通報などをきっかけに、その資金の流れが問題視されることがあります。こうした事案では、どの段階で事実関係を把握し、どのような対応を取るかによって、その後の展開が大きく変わってきます。

また、「日本版司法取引」とも呼ばれる協議合意制度があります。これは、他人の犯罪に関する証拠や供述を提供する代わりに一定の恩典を受けられる制度ですが、活用できるのはごく早い段階に限られます。検察が本格的な捜査を開始し、十分な証拠を収集してしまえば、協議合意という選択肢そのものが成立しにくくなります。私は長年、検察の意思決定に携わってきましたので、「捜査機関が今どの段階にいるのか」「何を重視しているのか」「企業としてどのような選択肢が残されているのか」という観点から助言することができます。”捜査の足音”が聞こえ始めた段階で、企業が取り得る選択肢を一緒に考えられることも、私ならではの強みと考えています。
外山河田弁護士も、岸弁護士の参画を喜んでおられますね。
河田私は企業不正調査や第三者委員会案件、コンプライアンス対応などに携わってきましたが、こうした領域は企業法務のなかでも特有の難しさがあります。問題が表面化した後の対応だけでなく、その前段階でどのような兆候を捉え、どう判断するかが重要になるからです。また、企業不正案件やホワイトカラークライムの領域では、民事・刑事・会計・ガバナンスといった複数の視点が交錯します。そのため、一人の弁護士だけで完結するのではなく、それぞれの専門性を持つ人材が連携して対応することが重要だと感じています。
その意味で、岸弁護士のように長年にわたって検察の意思決定に携わり、捜査機関の視点を熟知している弁護士がキャストグローバルに加わった意義は、非常に大きいと感じています。企業不正調査や第三者委員会案件、税務調査、ホワイトカラークライムの領域では、これまで以上に幅広い局面で企業を支援できるようになるのではないでしょうか。
税務・入管・ホワイトカラークライム――企業リスクの最前線に私たちはどう向き合うか

外山ここまでお話を伺ってきて、企業が抱えるリスクへの対応には、事後対応だけでなく予防や初動対応が重要であることを改めて感じました。そうしたなかで、岸弁護士と河田弁護士が”バディ”となることで、キャストグローバルがこれまで以上に強みを発揮できる領域がいくつかあると思っています。
その一つが、税務分野。税務というと税理士の領域と思われがちですが、実際には税務調査への対応だけで済まないケースもあります。事案によっては刑事事件へ発展することもありますから、それを見越して、弁護士が早い段階から関与しておくことが重要です。キャストグローバルには、国税局への出向経験者ほか、税理士登録のある弁護士も複数在籍していますから、そのような事案にも対応できますね。
岸脱税事案や租税回避をめぐる問題、さらには国際税務や海外資産の管理に関する課題など、様々なリスクが考えられますね。私は名古屋地検特捜部長時代に多数の脱税事件を取り扱った経験がありますので、そうした局面についても一定の知見を提供できるのではないかと思います。
河田実は、検察官出身で”税金事件”を扱える弁護士は意外と少ないのです。その意味で、岸弁護士のような経験を持つ弁護士が加わったことは、キャストグローバルにとって大きな価値になるでしょう。
岸私は預金保険機構へ出向し、破綻金融機関の調査を担当する機動調査課長を務めたこともあります。そこでは検察や警察、国税局などから出向してきた職員とともに仕事をし、それぞれの出身母体における物事の考え方や進め方に関する深い知見を得ることができました。このような経験も生かし、今後は、キャストグローバルの他の弁護士や税理士などと連携しながら、この分野についても力を入れていければと考えています。
外山キャストグローバルでは現在、法人税や所得税、消費税、相続税、贈与税などほぼすべての税目に対応可能です。東京国税局幹部出身の税理士と、税目ごとに非常に強い連携体制も築いています。また、もともと国際法務に強みを持つ事務所ですから、海外資産やクロスボーダー取引が関わる税務問題にも深い知見を有しています。
おそらく、当事務所の様々な取り扱い分野のなかでも税務分野については、税務と刑事を横断して支援できる点で、他にはない強みを発揮し得ると考えます。例えば「税法ができる」といっても、「脱税案件で刑事事件になりそうだ」という局面において、税法的局面と刑法的局面の両方で相談を受けられる法律事務所はなかなかありません。また、税務調査だけでなく「資料調査課から連絡が来ている」「査察が入る可能性がある」といった段階の相談まで受けられることを、前面に打ち出せる法律事務所も多くはないでしょう。岸弁護士と河田弁護士の”バディ”を起点に、キャストグローバルグループ内の専門家と連携しながら、税務分野における支援の幅をさらに広げていけると考えています。
企業を取り巻くコンプライアンスリスクは、税務だけではありません。河田弁護士は、外国人雇用や入管法の問題に注目されていますね。
河田私自身の注力領域として、”外国人雇用をめぐるコンプライアンス”に焦点をあてています。
私は検事として約12年半、検察庁に在籍しましたが、その間、出向というかたちで四大法律事務所に在籍し、訴訟や第三者委員会案件などに携わっています。その後、キャストグローバル(旧キャスト)に入所してからも、企業不正調査やハラスメント調査、一般民事訴訟、会社関係訴訟、労働事件、発信者情報開示対応、相続案件、顧問業務など、本当に幅広い案件を経験してきました。そうした仕事を通して感じているのは、「企業が抱える問題は、一つの法律だけで説明できるものではない」ということです。相談を受けた当初は「この法律が問題になる」と思われても、実際に調べていくとまったく異なる法分野に重要な論点が潜んでいるといったことがよくあります。弁護士には、依頼者が気づいていないリスクに気づき、適切な方向へ導く役割が求められると思っています。
ただ、検事から弁護士になった頃から、”人一倍調べること”を心がけてきました。そうした積み重ねのなかで、専門家が比較的少ない法分野や、まだ注目されていない領域についても、かなり深く理解できるようになってきたという実感があります。
その代表的な例が、入管法です。入管法は、外国人の在留資格や就労を規律する法律ですが、非常に複雑で難解な法律です。複雑かつ難解ゆえに、企業側に悪意がなくても、知らず知らずのうちに法令違反の状態に陥っているケースが少なくありません。さらに、この分野を専門的に扱う弁護士は決して足りているとはいえず、実際にはコンプライアンス上のリスクが存在しているにも関わらず、その危険性がまだまだ一般に認識されていないといった状況もあると考えます。
入管法もまた、単独の法律問題として捉えることはできません。外国人雇用の問題は労働法とも密接に関係しますし、各種業法や社会保険法、税法ともつながります。近年は人手不足を背景に外国人材の活用が進んでいますし、制度や運用の厳格化も進んでいます。この分野における社会的な関心や企業ニーズは、今後確実に高まっていくでしょう。
企業のコンプライアンス対応という観点では、単に制度を理解しているだけでは十分ではありません。問題が顕在化した際の”調査”や”当局対応”まで見据える必要があります。その意味で、これから岸弁護士と補完し合える部分が多くなっていくのでは、と思っています。

外山税務分野と入管法についてお二人の意見を伺ってきましたが、”バディ”が最もその力を発揮するのは、企業不正やホワイトカラークライムといった企業経営そのものに関わる危機管理の領域ではないかと想像します。この分野については、どのような支援ができるとお考えでしょうか。
河田近年は不正が発覚した後の対応だけでなく、「そもそも問題が起きていないかを点検したい」「不正を未然に防ぎたい」といったニーズが一層増えているように感じています。
また、ホワイトカラークライムと言っても、その内容は非常に幅広いです。特別背任や金融商品取引法違反、インサイダー取引、外国公務員贈賄などが代表例ですが、共通しているのは、会社経営や事業運営の過程で生じる判断が、結果として刑事上の問題として問われ得る点です。企業不正発覚後だけでなく、「何かおかしい」「当局から調査を受けるかもしれない」と感じた段階から相談いただける体制を整えていきたいと思っています。
岸私も、企業経営者が直面する刑事リスクという意味で、ホワイトカラークライムは重要な領域だと思っています。預金保険機構で破綻金融機関の調査に携わった際には、特別背任が問題となる事案も扱いました。また、外国公務員贈賄のように、海外事業のなかで生じるコンプライアンス問題もあります。こうした事案は、企業活動や経営判断と密接に関係しています。だからこそ、常日頃からしっかりとリスク管理を行うことが重要なのです。
外山まさに、企業経営そのものに関わるテーマですね。河田弁護士は第三者委員会や不正調査を通じて企業内部の実態を把握し、岸弁護士は長年にわたり検察組織の中枢で意思決定に携わってきました。企業側から見える景色と、捜査機関側から見える景色は必ずしも同じではありません。河田弁護士が企業内部の視点からリスクを分析し、岸弁護士が捜査機関の視点も踏まえながらリスクを整理する。この二つの視点が組み合わさることで、問題発覚後の対応だけでなく、予防や初動対応、さらには危機管理体制の整備まで含めた包括的な支援が可能となり、事務所としても、クライアントの皆様により安心感を持っていただけるサービスを提供できる素地が整ったと考えています。
Cast Global Group · Tokyo Office (Atago)
